三島から沼津へ移動し、旅の締めくくりは芹沢光治良(せりざわ こうじろう)記念館へ。
芹沢光治良さんは、主にヨーロッパで評価の高い文学者。
代表的な著作に『人間の運命』などがあります。
「文学はもの言わぬ神の意思に言葉を与えること」を信念に、明治から平成まで執筆されました。
この記念館の設計は建築家、故・菊竹清訓氏。
戦後の日本の建築界をメダポリズム運動で牽引した、私の大好きな建築家です。
4本のコンクリートの打ち放しシャフトが立ち上がる緊張感ある外観から、ハイサイドライトに照らされた内部へ。
分厚い木の無垢板をつなぎ合わせた開き扉は、コンクリートの壁に面一(つらいち)でピタッと収まっています。
天井の高い展示室は扁平な逆梁で空間が飛ばされ、梁に斜めのスリッドが刻まれています。
圧巻は階段室。
六角形の平面をラセン状に上がっていくのですが、手すりの収まり、照明の原始的な付け方…、とにかくまぁ、僕は好きですね☆
屋上テラスからは駿河湾が望め、この要塞のような記念館は完結します。
とにかく興奮、刺激をもらいました。
菊竹建築の中では洗練され過ぎてないせいか、一層、建築家の直裁なコンセプトが現前しています。
こんな緊張感のある設計を、私もしたい。
記念館の館員さんは、建築目当ての私に対しても、非常に親切に対応してくれました。